しかし今回の御遠忌法要にかわり真宗本廟(東本願寺)にて「被災者支援のつどい」として法会が開かれました。
当寺院が所属する日豊教区大分市組では第一期法要(3月26日参拝)に団体参拝する予定でしたが、御遠忌法要中止を受けて参拝中止を決定しました。
(大分市組では第2班として第三期法要にも団体参拝の予定があります。)
しかし、当初参加予定されていらっしゃった方の「被災者支援のつどいというかたちになってもどうしても本山にお参りしたい」という声をいただきましたので希望参加ということで参拝をいたしました。
当初200名以上の参加予定者でしたが50名弱の参加希望者があり、団体を縮小してでの参拝を行いました。
当寺院は第2班(第三期法要)に該当していましたが、第一期法要にお参りされたいというご門徒さんが2名おられましたので私を含め計3名でお参りさせていただきました。
(当寺院から第三期法要には20名以上の方が参拝予定です。)
結局今回の「被災者支援のつどい」には、光西寺さんのご門徒さんと当寺院だけの参加となりましたので「光西寺・西福寺団体参拝」という名称となりました。
3月25日〜28日までの3泊4日(船中2泊)、参拝でした。
【行 程】
3月25日(金)
光西寺発(13:00)〜《バス》〜新門司港発(17:00)〜《名門大洋フェリー》〜
3月26日(土)
大阪南港着(5:30)〜《バス》〜本山(真宗本廟)着(8:00)〜「被災者支援のつどい」参拝(9:30〜11:00)〜「みやこめっせ」にて昼食(13:15〜)〜京都市立美術館「親鸞展」見学(14:15〜13:15)〜比叡山参拝(16:15〜17:15)〜「ホテル平安の森京都」夕食・宿泊
3月27日
ホテル発(8:45)〜青蓮院参拝(9:00〜9:45)〜東大寺大仏殿参拝(11:00〜12:00)〜奈良市内で昼食(12:10〜)〜法隆寺参拝(14:00〜15:30)〜神戸港発(18:30)〜《フェリーさんふらわあ》〜
3月28日
大分港着(5:50)〜解散
京都は数日前から寒さが厳しい状況だったそうですが、我々が参拝した26日も非常に寒く時折雪が降るような天候でした。
本山(真宗本廟)には8時に到着しました。
修復された御影堂 |
御遠忌法要に予定されていた能舞台などは使われていません |
その後、阿弥陀堂・御影堂屋根の見学のほか、各教区が取り組んだ御遠忌讃仰事業のブース、御遠忌テーマ表現アート展、御修復のあゆみ展などを見学しました。
御影堂屋根見学から境内の様子 雪が舞ってます |
修復された御影堂の屋根瓦 |
1 真宗宗歌
2 開会のことば(大谷暢顯門首)
3 宗務総長挨拶ー被災者支援のつどいを開催するにあたってー
4 勤 行(同朋唱和)
5 災害救援本部長からの報告ー被災地の現況と支援の報告ー
6 法 話
7 閉会挨拶ー被災者支援に向けてー(宗務総長)
8 恩徳讃斉唱
【開会のことば】(大谷暢顯門首)
本日、真宗本廟において、宗祖親鸞聖人と、ご参集の御同朋の皆さまと共に、東北地方太平洋沖地震災害「被災者支援のつどい」を開催いたします。
まず、このたびの激甚災害により尊い生命を奪われた方々に、謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災され深い悲しみと大きな不安のなか、今なお苦しい生活を余儀なくされておられる全ての方々に、心からお見舞いを申し上げます。
このたびの巨大地震・大津波による甚大な被害、そして原子力発電所の極めて深刻な事態により、今、私たち真宗門徒は、この現代を生きる人間の真のつながりを、南無阿弥陀仏の教えから、厳しく問われています。
今日の「つどい」において、一人ひとりが被災地に思いを馳せ、悲しみを共にすることを願いますとともに、今こうして、宗祖聖人の御真影まします真宗本廟に集う重大な意味を受けとめたいと思います。
そして、相共に念仏申し、被災地支援の活動を推進いたし、いよいよ自信教人信の誠を尽くし同朋社会の顕現に努めてまいります。
2011年3月
真宗大谷派門首 大 谷 暢 顯
【宗務総長挨拶】(要旨)
3月11日に発生した未曾有の巨大地震と大津波によって、東北・関東をはじめ、国内の広範な地域に甚大な被害がもたらされ、なおかつ、原子力発電所は極めて深刻な事態が続き、今なお全く予断を許さない状況にあります。
まず、このたびの震災により生命を奪われた、実に多くの方々に、衷心より哀悼の意を表しますとともに、親しい方を亡くされ、また、ご家族の安否もままならず、今なお深い悲しみの中で、苦難の生活を強いられておられる全ての皆さまに、心よりお見舞いを申し上げる次第であります。
また、このたびの第一期法要中止につき、大変ご迷惑をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。
巨大地震、大津波、そして原子力発電所の深刻な事態。かかる激甚災害の現実を厳粛に見据え、全力を挙げて災害救援活動に取り組むため、今回「被災者支援のつどい」として、ここ「真宗本廟(東本願寺)」における法会を開かせていただいたことであります。
さて、連日の報道からもご承知のとおり、被災地の方々がおかれております状況は、日を追うごとに苦痛を増しております。
本当に多くの方が、一瞬にして大切な人を亡くされ、それまでの生活の場を失われ、また、未だご家族の安否すらわからず、探す方途もないという、本当につらく、悲痛としかいいようのない毎日を、ひたすらに耐え、懸命に生き抜いておられます。
そのうえ、原子力発電所の深刻な事故に曝され、物資の不足をともなって、重大な危機状況におかれております。
決して安易に申すものではございませんが、国内外の支援により継続中の救援活動、原発沈静に向けた活動が、いよいよ実を挙げ、一刻も早く、被災された皆さまの安定し た生活が確保され、一日も早い被災地の復興を願わずにはおれません。
宗派におきましても、震災直後から被災地の寺院・ご門徒をはじめとする現地の状況把握に努め、救援金の募集、救援物資をともなった救援チームの派遣など、直ちにできることから間断なく対策を講じております。今後も、現地での活動は大変過酷なものでありますけれども、力を尽くしてまいる所存であります。
今回の震災による原子力発電所の極めて深刻な事態は、経済至上・科学絶対主義と表わされる人知の闇が、まさしく露わになった事実であります。
このことは、私たちの生活を根底から問い直させる、たいへん重要な意味をもっておりますことは言うまでもありません。
まずは、第一に、現在の原子力発電所自体の危機状況が、一刻も早く収束することを願うものであります。
それとともに、刻一刻と脅威が増大する現場に立ち向かい、これ以上の放射能拡散を留めようと尽力しておられる方々に、心から敬意を表したいと思います。
原子力発電所の職員の方々、自衛隊、警察をはじめ実作業に当たられている方々にも、もちろん家族があり友人があることです。
そのなかで、あきらめることなく、文字通り、命がけで作業を続けておられます。
いかに人間が作り出した結果と申しましても、たいへん心を痛める事態であります。
このような凄惨な事故を生み出す原子力発電所に頼る生活を営んでおりますのは、ほかならない私たちであります。
あらためて、一人ひとりが、原子力に依存する現代生活の方向というものを、考え直さなければなりません。
進歩発展を疑ってもみない私たちの日ごろの心の無明性を、厳しく教えてくださるものは、如来の「はたらき」をおいて他にございません。
今回の激甚災害により、「念仏の教え」から私たち自身が問われています。
親鸞聖人が顕かにされた浄土真宗を、私たちは、はたしてどのように受けとめてきたのか。
そして、いかに自身の生き様として証していくのか、と。
私たちは、自らの生活のありようを振り返り、現代という時代状況を作っている一人の人間として、この現実を引き受ける責任があります。
いかに厳しくとも、現実を身の事実として引き受け、歩まねばなりません。
今、私たちは、何をなさねばならないのでありましょうか。
この「つどい」において、重ねて、親鸞聖人のお声に耳を傾けたいと思います。
激甚災害に遭われたすべての方々を、一人ひとりが思いやり、いま自分をこの場所に押し出してくださった方々に感謝しつつ、精一杯の救援活動を行ってまいりましょう。
そして、その基となるべきものとして、親鸞聖人の、「「十方衆生」というは、十方のよろずの衆生なり。
すなわち われら なり」(尊号真像銘文)という言葉を、大切に、大切に、受けとめてまいりましょう。
被災の方々に思いを馳せ、悲しみを共にすることを願って、いよいよ「人間回復の一道」を証してまいりたいと思います。
2011年3月
真宗大谷派宗務総長 安原 晃
以上のようなご挨拶がありこの「つどい」(法要)の意義をあらためて確かめさせていただきました。
また、被災者支援のつどいに寄せられたメッセージとしてお二方のメッセージが紹介されました。
【宮崎哲弥氏(評論家)】
去る 3月11日に発生した東北関東大震災。
日本人の原風景ともいえる町並みや田畑が津波にのみ込まれていくさまは、私たち自身の大切なものが奪われていくようでした。
犠牲者の方々に深く哀悼の意を表しますとともに、悲しみの中で避難生活を強いられております皆様に心よりお見舞い申し上げます。
私は、昨年10月から真宗大谷派が提供しているBS-TBS「こころのすがた」という番組でナビゲーターを勤めさせていただき、各界の方々との対話の中に「現代人の生き方」や「生きるヒント」のようなものを少しでも番組視聴者に感じ取っていただきたいと思ってきましたが、今あらためて、仏教の縁起と慈悲の重要性を痛切に感じています。
「復興の日」という言葉をまだかんたんには使えないと思います。
それでも共に生きる中で皆さんの心の中に少しずつ希望の光が差し始めることを祈っています。
【大谷昭宏氏(ジャーナリスト)】
生きていることの無常さを感じる。
去っていった命の無念さを思う。
被災地に降りしきる雪の無情さを恨む。
画面を通じて伝えることしかできない 己の無力さを憎む。
だが、電気の通じていない避難所には、その伝えたいことさえ届かない。
どうしよう。どうしよう。
だけど、いまはその無力さを微かな、でも確かな微力に変えよう。
みんなの微力が集まったとき、微かな灯が一筋の力強い光になることを信じて。
このように各氏からのメッセージも大切な問題提起としていただきました。
被災者支援のつどいの様子 法要変更にもかかわらず、当初予定の7割くらいの方の参詣がありました |
堂内各所にモニターが設置されています |
「被災者支援のつどい」の趣旨文 |
「被災者支援のつどい」終了後には晴れ間がでてきました |
本山も参拝する私たちも非常に難しい判断を余儀なくされた状況でありました。
50年に一度という大法要に際し、これまでそれぞれの方がそれぞれの思いで数年かけて待ち受けてきました。
そういう意味ではほとんどの方が、「御遠忌法要として予定通りお勤めしたかった」という思いは捨てきれずにいると思います。
しかし今回はまさに未曾有の事態であり、被災者の方々に寄せる思いも皆同じだと思います。
そこで、後ろ髪を引かれながらも50年の一度という機縁に増して、さらに稀有なご縁をいただいたこととしてこの「被災者支援のつどい」に遇わさせていただいたのも非常に意義のあることだと思います。
今回ご参拝された方々も当初の参拝の趣旨とは違ったにもかかわらず、「お参りさせていただいてよかった」と皆さんおっしゃってくださいました。
法要中も非常に寒かったんですが、「被災者の方々のご苦労を思えば・・・」という気持ちが強く不足な感情は全くありませんでした。
今回の惨事はある意味、宗祖のお示しくださった大切な念仏の教えが本当に響いてくるような千載一遇の機縁として、はたらきとして受け止めなければならないのではないでしょうか。
ちなみに、昨日(3月28日)本山より第二期法要(4月19日〜28日)、第三期法要(5月19日〜28日)についても「被災者支援のつどい」の願いを引き継ぎ法要次第及び荘厳を一部変更して厳修するという発表がありました。