現在では浄土真宗以外の宗派の方もほとんど妻帯の形式を取っていますが、これは明治5年に出された「太政官布告」で「僧侶の肉食妻帯蓄髪は勝手たるべきこと」とされたことによって、妻帯してはならないという戒律を持っていた宗派も妻帯に踏み切ったからであります。
国家が「勝手にせよ」と言ってくれたから戒律を破ってもいいという解釈にしたというようなことです。
つまり浄土真宗は初めから戒律も待たないし、国家からも制約されない(認めてもらってないという意味もある)立場でありますので妻帯があたりまえなのです。
ですから浄土真宗では何代にもわたって寺院の世襲化が行われてきていますし、浄土真宗以外の宗派は明治以降に世襲化が始まったという訳です。
もちろん世襲についての賛否はありますが、歴史的な背景は以上のようなことで、私としては浄土真宗以外の宗派が妻帯して世襲化している現況に非常に違和感をもっています。
話は戻りますが浄土真宗で住職の妻を「坊守」としてきたということは、意味合いとしては今でもそのように解釈されるケースが多いですが、正確にいうと現在では間違った解釈であります。
現在では住職が女性ということが珍しくありません。(多くの宗派で認められています)
私どもの所属する真宗大谷派でも1996年に認められました。
「平等」ということを強く説いている仏教において「今更っ?」ていうことに思えますが、仏教教団が様々な点で男女の区別を保持してきたのも事実です。
しかし、近年はこの男女の問題だけでなくいろいろなことについて「お釈迦様の説かれた教えに反してないだろうか」という視点で改革がなされています。
その一つに女性住職が認められたということがあるのですが、それにともなって「坊守」の定義が改めて問われることになりました。
真宗大谷派では宗派内において様々な審議、議論を経て2008年に「男女の区別なく住職の配偶者を坊守とする」という条例改正を行いました。
つまり、女性住職の寺院は住職の夫が「坊守」となるのです。
(住職に配偶者がいない場合は別の人を選定できます)
この「坊守」の定義については、宗派内でもまだまだその解釈や制度などについて議論の余地や課題を残している問題です。
ちなみに浄土真宗本願寺派でも現在は「坊守は住職の妻」とする規定を削除しているようです。
ということで「坊守」ということについて縷々述べてきましたが、大分市組(おおいたしそ)の坊守会では年8回の学習会を行っています。
数年前より会所を全20ヶ寺が持ち回りしており、今回(6月9日)の学習会が当寺院で開催されました。
大分市組は女性住職がいませんので従来通り住職の奥さん方の会となっています。
この日は今年度(真宗大谷派では7月〜6月が1年度としている)最後の学習会でしたので、学習会終了後には会場を移し懇親昼食会が開かれました。
学習会の様子 |
昨年度、今年度と講師をされた村上秀麿師(田川組光明寺住職) |
テキスト この2年間は「親鸞書簡集」(法蔵館)を学習しました |
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