東北地方太平洋沖地震で犠牲に遭われた方々には衷心より哀悼の意を表し、被害に遭われた方々には心からお見舞い申し上げます。

東北地方太平洋沖地震で犠牲に遭われた方々には衷心より哀悼の意を表し、被害に遭われた方々には心からお見舞
い申し上げます。

2010年10月19日火曜日

免許更新・名作講習用ビデオ

前の投稿で運転免許の更新を報告しましたが、その際受講した講習内容について報告します。
講習は違反運転者講習だったため、2時間ありました。
午後の部に行きましたので、14:20〜16:20に受講しました。
午後ということもあり睡魔が心配されました。
予想通り、講習開始直後から眠気が襲ってきました。
最初に講師が受講にあたっての注意事項を言いましたが、その中で寝ていた場合は受講済みとならない場合があるとありました。
絶対寝てはいけないと気合いを入れました。
講習は免許更新についての概要や、新しい道路交通法などのことについて説明をしていましたが、気持ち的にはうつらうつら状態でした。
20分程たつと、「ここでビデオを一本見てください」ということになりました。
ビデオ上映のため講習室が少し暗くなったので、「寝るチャンスが来た!」と思っていました。
ビデオのタイトルは『飲酒運転の報い/破滅への道』というものです。
どうせ見応えがないと思って期待してませんでした。
しかし、タイトルのところで荒波に東映の文字が出てくる例の映像が出てきました。
なんと東映制作の本格的ドラマ仕立てでした。
ちょっと興味が出てきました。

物語は雨の夜、おばあちゃんと歩いていた子どもが車にはねられ救急車で運ばれるところを、多くの野次馬が見る中にひき逃げした犯人と思われる人物が様子を見ている場面から始まりました。
突然ある新聞社にシーンが変わり、そこに訪ねてきたのがなんと里見浩太朗です。
里見浩太朗(役柄は柏木という名前)は昨年までこの新聞社に勤めていたが、定年で退職し今は交通事故に関する取材等をやっているフリージャーナリストという設定でした。
久しぶりに新聞社を訪ね、元同僚の女性社員と談笑する中で柏木に「手紙が来ているのでお渡しします」という展開になりました。
その手紙の中に榎本純一という人物からの手紙があり、柏木は別室でそれを開封します。
その手紙の内容が朗読されるシーンから、その手紙を刑務所で書いている差出人榎本の映像が出てきました。
なんと榎本役はイケメン中堅俳優の原田龍二です。
予想通り、先ほどの事故のシーンで野次馬に紛れて様子を見ていた人物です。
手紙では「子どもたちは今どうしているだろうか?」という内容で、自分の起こした事故を取材した柏木に「無理なお願いをして申し訳ないが、そのことを調べて欲しい」という依頼が記されていました。
そこで、柏木が定年前に取材したこの事件を回顧するところから事件の全容が明らかになります。
回顧は榎本の友人に取材をする柏木のシーンから始まります。
映像は事故の日に戻ります。
仕事を終え友人たちと居酒屋らしきところで飲んでいる途中、榎本に一本の電話が入ります。
それは仕事の電話で、取引先の方の冷蔵庫が壊れたので何とかして欲しいという内容でした。
友人たちは「今日は酔ってるので、修理は明日にしてもらえば」と説得しますが、真面目な榎本は「お得意様に迷惑はかけられない、冷蔵庫の中のものが腐ったら損害が生じる」とい言い修理に向かうことを主張します。
かなり引き止めたんですが、「少し酔いを醒まして向かうから大丈夫」と言って店を後にします。

そこで、榎本の人物像が紹介されます。
榎本は数年前、前の会社から独立して電気関係の仕事を起業して、その仕事が軌道に乗り、マイホームも手に入れ奥さん二人の子どもと幸せに暮らす38歳という設定です。
非常に真面目な人物像で描かれていました。

店を出て車中でコーヒーを飲みながら酔いを醒ます榎本のシーンに戻ります。
そこでお得意様から再度電話があり「まだですか?」と催促されたので、榎本は意を決して車を出します。
再び柏木の取材を受ける友人のシーンが映し出され、「自分も飲酒運転で事故をした経験があるので、もっと必死に榎本を止めておけばよかったと後悔している」と言っていました。
その後、雨が降る中で注意をしながら運転する榎本と並行して、祭りの帰りなのか浴衣を着て傘をさして歩く2人の子どもとおばあちゃんの姿が映し出されます。
そして遂にその時がやってきます。
場所は板橋区の急カーブのある坂道です。
歩行者用の信号が青になってわたる子どもたちを榎本の車が止まりきれずにはねてしまいました。
車を止めて呆然とする榎本は、「逃げることしか考えなかった」と回顧の声が入りました。
再びシーンは変わり、柏木がその後の榎本の様子を榎本の妻に取材するシーンになります。
今思うと当日帰ってきてから様子がおかしかったということでありました。
帰ってくるなり全く元気がなく、風呂も入らずに寝てしまったが、夜中にうなされて飛び起きてしまいます。
次の日はめずらしく仕事を休み、仕事を再開しても手につかない榎本です。
事故に関しては翌日の新聞で詳細がわかり、弟は脳挫傷で事故後死亡し、姉も脊髄損傷で重体ということでありました。
車で亡くなった子どもの葬儀会場の寺の前を通過して様子を窺ったり、事故現場で手を合わせる榎本の姿がありました。
数日後のある夜、榎本は切り取った新聞記事を見せとうとう妻にひき逃げのことを打ち明けます。
妻は「何故逃げたのか」と泣きながら問いつめ、話を聞きつけた榎本の2人の子どもたちもやってきて父親を責めます。
お兄ちゃんの方は「パパは逃げるなんて弱虫だ、卑怯だ」と言います。
榎本は「後は任せた、今から自首する」といって家を出てそのまま自首しました。
榎本の自首後、妻は謝罪に奔走します。
被害者宅に行って土下座しても、脊髄損傷した子どもの見舞いに病院へ花を持って行っても冷たく突っぱねられます。
被害者の両親や祖母からは「救急車を呼んでたら息子は助かったかもしれない」、「どれだけ謝られても息子はもう戻ってこない」とののしられ続けます。
その後、裁判で判決が下り榎本は懲役5年の刑事処分、民事では1億2千万円の損害賠償が課せられました。
残された榎本の家族はせっかく手に入れたマイホームを手放し、ボロボロの安アパートに引っ越しました。
妻は昼は飲食店で皿洗い、夜は工事現場の警備員などをして、昼夜問わず働きづめで、子どもたちはカップラーメンをすする毎日でした。
次第に子どもたちはおかしくなります。
下の女の子は学校に行きたくないと言い出し、上のお兄ちゃんは髪の毛を染めグレはじめ、幸せだった時の家族の写真を破いたり母親に反抗的態度をとるようになっていました。
被害者の重体だった女の子は一命はとりとめたもの、半身不随で一生車椅子の生活の身になりました。
被害者家族は相変わらず妻に冷たく、「お金なんか要らない、息子を返して」といいます。
被害者の父親は酒漬けになり、母親も少しおかしくなったので、おばあちゃんが孫娘を看病していました。
榎本の妻は疲れ果てていました。
そして、とうとう「あなた、ごめんなさい。もう一歩も歩けません」といって踏切で電車に身を投じて命を絶ちました。
それを獄中で知らされた榎本も泣き崩れました。
まさにタイトルどおり、加害者も被害者も家族共々破滅の道を辿ることになりました。
榎本が柏木宛に出した手紙にあった、子どもたちの安否については長野の親戚が預かっていることが有力視され、早速新聞社の長野支社に連絡して調査依頼をしてました。
新聞社の女性社員から調査報告があり榎本の子どもたちは無事に親戚宅で暮らしているということがわかりました。
その場で、柏木は榎本に子どもたちのことについて知らせる手紙を書きました。
物語の最後は、柏木と新聞社の女性社員がこの事件について語り合います。
柏木が「榎本は真面目でいい人間だったが何かが足りなかったんだと思う。それは勇気じゃないかなあ。酒を飲まない勇気、飲んだら絶対に車の運転をしない勇気、そして事故を起こした時に逃げずに被害者を救助する勇気があれば、これほどのことにならなかったんじゃないだろうか」という台詞で締めくくります。

以上がビデオの内容ですが、上映時間は25分くらいだったと思います。
これだけ鮮明に覚えているということは、当然眠気が吹っ飛んで見入ってしまったということです。
講習の部屋には約30名くらいの受講者がいましたが、みんな真剣に見ていました。
寝ている人はいませんでした。
流石、東映の製作なので作りが丁寧です。
脚本、演出、カメラワークなどこういった教習用のビデオにしてはクオリティーの高い作品でした。
真面目な人間が悲惨な目に遭うといった、昼メロばりの内容は十分満足できました。
違反運転者講習は講習手数料が優良運転者教習より1,000円高いんですが、完全に元を取りました。
敢えてこの作品にツッコミを入れるならば、「どうしてもお得意様のところに行かないといけないんだったら、タクシーで行ったらよかったんじゃないか」ということと「里見浩太朗と原田龍二のキャスティングだと水戸黄門とかぶってるじゃん」ということです。
里見浩太朗は老けたなあということと、原田龍二ってかっこいいなあという感想も付け加えておきます。

このビデオを見た後、15分ほど休憩を挟んで講習が再開しました。
講習の後半にももう一本ビデオを見ました。
このビデオに関しては非常にクオリティーの低さを感じました。
タイトルは『知って得するセーフティードライブ/高速道路とうまくつきあう方法』というものです。
言うならば、完全に日本道路公団の宣伝ビデオです。
内容は「高速道路での故障時の対処」、「トンネル内の事故と火災の対処」、「高速道路の逆走の注意」、「過積載と荷崩れの注意」、「サービスエリアの利用促進」などについてでした。
サービスエリアのところでは、温泉があったり休憩施設があったりしますというような宣伝丸出しの内容でした。
本当はこの後ETCのお得な利用法なども組み込まれていたみたいですがそこはカットしてました。
ちょっと笑いを取る感じの場面がいくつかあったり、CGを駆使してるところもありましたが、全体的に安っぽいビデオでした。
しかし、出演者の演技力はなかなかのものでした。
それから、高速道路内でロケをしてるみたいなんですが、蛇行運転ややってはいけないことなどの場面がありましたが、「こんなロケを高速道路でやったら迷惑だろう」とツッコミを入れたくなりました。
というよりも全体的なツッコミをしなければならないんですが、そもそもこの講習は数度の交通違反をした人を対象とした講習なのに、高速道路の利用についてのノウハウを知らせてどうするんだと思いました。
全く意味がないと思います。
例えばスピードの出し過ぎによる危険を啓発するとか、駐車違反によって消防車や救急車の通行の妨げになるとかのビデオを見せるべきだと思います。
そんなこんなで、講習の後半はボロボロでした。

まあ何はともあれ、おかげで睡魔との戦いには勝つことができた講習でした。

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